日本調理科学会大会研究発表要旨集
2024年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1P-27
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ステーキ調理の最適加熱制御にむけた色彩ならびに呈味性評価
*渡邊 礼菜ラべ イヴァン福岡 美香
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キーワード: 牛肉, 色彩, 呈味, 最適調理
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抄録

【目的】ビーフステーキには様々な焼き加減が存在するが、各焼き加減の状態を表す指標は未だない。本研究ではステーキの色彩及び呈味成分について科学的に解析することで、各焼き加減の指標を明確化し、それによって消費者が求める多様な焼き加減のステーキを誰もが再現できるような汎用性の高い調理シミュレーターを構築することを目的とした。

【方法】牛サーロイン肉をフライパンと卓上型IHクッキングヒーターを用いてレア、ミディアム、ウェルダンの3つの焼き加減についてプロの料理人の方法を参考に調理を行った。この時、温度履歴取得や調理損失率算出を行った。また、肉表面及び断面画像をデジタルカメラで撮影し、画像解析にてL*a*b*値を算出することで色彩評価を行った。さらに、調理前後の試料のIMP含量をHPLC法により測定した。

【結果・考察】調理プロセスのうち、焼成工程後の試料中心部温度はレアが約40℃、ミディアムが約55℃、ウェルダンが約65℃であった。引き続き行う寝かせ工程では、雰囲気温度が試料温度に大きく影響する事が示された。調理損失率は焼成時間が長い焼き加減ほど大きくなったが、牛肉の品種によっても異なった。牛肉の未加熱状態の色調には鮮度や脂肪交雑率が影響し、牛肉の色彩値分布は個体ごとに異なった。しかしながら、加熱による筋原線維タンパク質の変性に応じてa*値の低下とL*値の増加が見られ、これによって個体間の色差は収束した。焼き加減の違いをあらわす指標としてはL*値が有効であると示唆された。いずれの焼き加減においてもIMP含量は減少するが減少幅は小さいことが示された。

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