主催: 一般社団法人日本調理科学会
会議名: 2025年度大会(一社)日本調理科学会
回次: 36
開催地: 東海学園大学
開催日: 2025/08/30 - 2025/08/31
【目的】給食現場で活躍できる栄養士を育てることを目的とした食物アレルギー教育の確立を目指し、栄養士養成施設における食物アレルギー教育(調理実習)によるコンピテンシーと学習効果の変化を評価した。
【方法】名古屋栄養専門学校の学生を対象とし、2023年5月~9月に食物アレルギーに特化した調理実習を履修した群を履修群(n=27)、履修しなかった群を非履修群(n=95)とした。調理実習開始前には対象者全員に食物アレルギーの基礎講義を行った。アンケート調査及びミニテストは講義前(ベースライン)及び調理実習後(エンドポイント)に行った。アンケート調査は、4件法を使用して点数化した。項目は、コンピテンシーの測定9項目、モデルコアカリキュラムの到達目標5項目、調理実習の到達目標4項目とした。ミニテストは食物アレルギーの基礎知識を問う8問を行った。
【結果・考察】コンピテンシーのすべての測定項目において、調理実習後、得点の有意な上昇は見られなかった。モデルコアカリキュラム及び調理実習の到達目標において、非履修群の1項目を除くすべての項目で、調理実習後有意に上昇した。エンドポイントでは4項目において履修群の方が有意に高かった。これらのことから、講義には学習効果があり、さらに調理実習がその効果を高める可能性が示唆された。ミニテストの点数の結果、ベースラインでは有意な差はなかったが、エンドポイントでは履修群の方が有意に高かった。また、調理実習の到達目標で「できる」と回答したが、対応する内容のミニテストの正答率は、いずれも履修群の方が有意に高かった。このことから、非履修群は自己評価が高い可能性があり、実際に知識の定着には調理実習が必要であると考えられた。