日本調理科学会大会研究発表要旨集
2025年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1D-2
会議情報

食文化が持続可能な社会構築に果たす役割
―岐阜県恵那地域の食文化―
*山下 紗也加山中 由実西田 優内藤 宙大伊藤 勇貴小川 宣子和泉 秀彦
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】持続可能性が問われる社会において、地域で伝承・継承されてきている行事や行事食・伝統食などを通して、一人ひとりの生活の充実の実現や社会との向き合い方を考えることが、持続可能な生活の創造に向けての社会行動変容に繋がる可能性について岐阜県恵那地域を対象として検討を行った。

【方法】1)行事食・伝統食の把握:恵那地域の行事や通過儀礼などのハレ食に関わる食文化について文献調査、恵那市食生活改善連絡協議会への聞き取りを行った。2)行事食の現状:正月料理の年取りのごっつぉうと雑煮の現状について「毎年食べるか」,「作った人」などWebでのアンケートから調べた。3)食文化の伝承・継承:幼児および保護者を対象に恵那地域の伝統食である朴葉寿司について朴の葉や朴葉寿司を見たり、食べたりした経験を聞き取り調査とアンケート調査から調べた。4)販売されている朴葉寿司:朴葉寿司は購入する家庭も見られたことから、販売されている朴葉寿司の品質について、すし飯の硬さや握り方などから推定した。

【結果】恵那地域は農業や神事に関わる行事や通過儀礼が比較的残っており、家庭では大晦日や正月に年取りのごっつぉうを食べる風習が守られ、雑煮は97%の人が毎年食べていた。朴葉寿司に用いられる朴葉は家庭の敷地内のものを使用し、61%の幼児は近くで朴の木を見ることができる環境であった。71%の幼児が朴葉寿司を食べた経験があり、家庭だけでなく近隣や親戚から入手する頻度も高く、祖父母から朴葉寿司の食文化を知ったという割合が大きかった。販売されている朴葉寿司のすし飯の品質には業者間に違いがあり、これは作り方の違いによることに由来していた。

著者関連情報
© 2025 日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top