主催: 一般社団法人日本調理科学会
会議名: 2025年度大会(一社)日本調理科学会
回次: 36
開催地: 東海学園大学
開催日: 2025/08/30 - 2025/08/31
【目的】調理施設内で「喫食者に提供されずに残った料理」を食品ロスと定義し、特定給食施設を対象に食品ロスの有無やその要因について質問紙調査を実施した。食品ロスは約7割の施設で生じており、その特徴として大規模給食施設であること、給食業務が委託で運営されていること、医療施設・高齢者施設であることが推測された。本研究では、医療施設と高齢者施設の食品ロスの特徴と課題について明らかにすることを目的とする。
【方法】2022年9月にA県が管轄する管理栄養士・栄養士が配置されている特定給食施設を無作為に選び質問紙調査を行った。回答のあった医療施設39施設(回答率:41.5%)、介護老人保健施設11施設(回答率:39.3%)、介護老人福祉施設38施設(回答率:40.4%)について、食品ロスの有無と関連する要因について検討した。自由記述から食品ロスを削減するための課題についてカテゴリ化した。
【結果・考察】回答のあった施設のうち、食品ロスが「毎食ある・時々ある」と回答したのは、医療施設38施設(97.4%)、介護老人保健施設11施設(100.0%)、介護老人福祉施設30施設(78.9%)であった。「食品ロス削減に取り組みたいと思うか」という設問に「そう思う」と回答したのは、医療施設39施設(100.0%)、介護老人保健施設10施設(90.1%)、介護老人福祉施設34施設(89.5%)であった。食品ロス削減の工夫について自由記述でたずねたところ、「提供食数の厳密な管理」、「発注の工夫」、「適切な食事量の把握と提供」等の回答があった。近年、食材料の価格は高騰しており、給食施設を取り巻く経営環境は厳しい。徹底した衛生管理のもとで調理された給食が、食品ロスとならない給食システムの構築が必要である。