2016 年 15 巻 11 号 p. 523-538
日本企業の海外生産が拡大するとともに、部材の現地調達が進展してきた。通常、現地調達率は直接的な購買相手、すなわち完成品メーカーにとってはティア1のサプライヤーからの調達で計算される。そういった見かけの現地調達率は、日本企業のアジア拠点でも高まってきた。しかし、ティア3やティア4といったサプライチェーンの深層部では、現地化が進んでいなかったのが2000年代の現状である。見かけの現地調達率と真の現地調達率の間には大きな隔たりがある。日本企業のアジア拠点では、深層の現地化活動が進み、徐々に真の現地調達率も高まりつつある。しかし、海外の生産活動に占める日本の付加価値は、2–3割は残ると思われ、日本に残る事業と海外に移転する事業との二極分化が進むだろう。