2016 年 15 巻 8 号 p. 411-420
Leonard-Barton (1992) は、企業に競争優位をもたらす「コア能力」の裏側にある「コア硬直性」の存在を指摘し、四つの次元からなるフレームワークを用いて分析を行った論文である。しかしながら、多くの後続研究では「コア硬直性」を単なる能力の負の側面として捉えてしまっており、その背後にある分析フレームワークについては言及されていない。そこで本稿では、まず、Leonard-Barton (1992) の解説を行い、コア硬直性の理論的な意義を改めて検討する。その上で、コア硬直性の貢献と限界を明らかにする。