2017 年 16 巻 4 号 p. 167-192
本研究では、携帯電話産業において、コア部品サプライヤーの知識を中心とするブランド企業と生産受託企業の製品開発分業という企業間分業を分析した。本研究の定量分析の結果によると、生産受託企業がコア部品サプライヤーのツール・キットを活用することと、コア部品サプライヤーと技術コミュニケーションを行うことが、ブランド企業との製品開発分業における意思決定権限に正の影響を与えることが明らかになった。このようなトライアドの企業間分業においては、企業 (プリンシパル) と協業相手 (エージェント) の分業における意思決定の権限の割り当ては、企業 (プリンシパル) と協業相手 (エージェント) のどちらが相手企業よりどれほど第三者の知識を「獲得」するかによって決まることになると考えられる。