2018 年 17 巻 4 号 p. 159-178
本稿は富士フイルムのFinePix700の事例をもとに、技術変化と既存のデザインの踏襲の関係性について探求し、大きな技術変化はときに優位性のある既存デザインの実現を困難にする場合があることを確認した上で、そのような場合にデザインと技術を高いレベルで達成するためのマネジメント方法について分析を行った。その結果、新奇性は高いものの、技術的な合理性に基づいたデザインを活用することで、技術とデザインの両立を達成し、競争力のある製品を生み出すことができたことを指摘した。これは、技術とデザインの関係性について、消費者行動論のみならず技術経営論の視点から両者を捉える必要性を示す点で大きな貢献を有する。