コンスーマ市場で興隆した光ディスク産業がパソコン市場に巨大市場を構築するまでの経緯について、日本企業の視点から分析した。まずCD-Audioから CD-ROMが生まれた経緯、現在のDVDに繋がるドミナント・デザインがCD-ROMによって形成される経緯およびパソコン市場に巨大なOEM市場が誕生するまで経緯を述べた。また日本企業の競争優位が技術力というよりもむしろ製品アーキテクチャの動態的な変化に左右されている事実、およびモジュラー型に転換する時点からキャッチ・アップ型工業国が市場参入して日本企業が市場撤退する姿も、多数の市場データを交えながら明らかにした。光ディスク産業に於ける日本企業と韓国・台湾・中国企業との関係がパソコン産業に於けるIBMとPCクローン・メーカーとの関係と同じであり、ここに日本企業の勝ちパターンを考える視点があることも本論文から理解されるであろう。