2019 年 56 巻 4 号 p. 211-215
5年生存率50%に留まっている慢性心不全は脳がフィードバック制御を行なっている心拍出量が不適切になっている.我々は1) 脳内アンジオテンシンII受容体により産生される酸化ストレス・2)アストロサイトのアンジオテンシンII受容体異常増加による神経グリア連環異常・3) 脳内炎症性サイトカイン産生,が過剰な交感神経活性化を惹起し慢性心不全の病態を悪化させることを報告した.また,圧受容器反射不全で容量不耐性・圧利尿関係異常が惹起され,迷走神経求心路刺激により改善することも報告した.これらの結果は,脳の機能不全が慢性心不全の本質的な原因であり,未達の治療標的であることを強く示唆するものである.