2022 年 59 巻 3 号 p. 286-292
我々は,「インターバル速歩」を核としたIoTによる個別運動処方システムを開発し,長期間の定着率と効果を検討した.その結果,1)定着率に比例して,体力が向上し,生活習慣病が改善すること,2)定着率に影響する因子に,従来報告のあるBMI,性別などに加え,遺伝因子として,バソプレシンV1a受容体遺伝子多型が影響すること,3)マウスにおいて脳内のV1a受容体が中枢性昇圧反応を引き起こし自発運動の開始促進に関与すること,4)ヒトにおいて高体力者ほど自発運動開始時の中枢性昇圧反応が大きいことを発見した.以上,中枢性昇圧反応が運動習慣の定着に関係し,それには脳内のV1a受容体が関与している可能性が示唆された.