双極症は重要な精神疾患のひとつであり,患者は躁または軽躁状態とうつ状態を繰り返し経験する.薬物療法が標準的な治療法であるが副作用による継続が困難な場合や,自律神経症状を中心とした多数の身体症状への対処が困難という課題がある.そんな中,鍼治療は非薬物療法として補完的な役割を果たせる可能性がある.本稿では,双極症に対する鍼治療の臨床効果について,国内外の臨床研究を紹介する.鍼治療は薬物治療で十分な効果が得られない,または副作用により薬物が用いにくい双極症患者のオプション治療となり得ることが示唆されており,双極症治療における新たな選択肢として患者の生活の質の向上に貢献する可能性がある.