2025 年 62 巻 3 号 p. 86-88
養護教諭を対象にしたアンケート調査において,「起立性調節障害の児童・生徒が夜寝られず朝起きられない」という問題があることが明らかとなった.睡眠医学的な起立性調節障害の正体として体内時計が大きく後方へ後退し固定された状態と考えられている.西洋薬を用いた治療ではラメルテオンが用いられてきたが,近年,メラトニンやアリピプラゾールが用いられるようになった.これらの西洋薬は保険診療上,投与が制限される場合がある.動物実験の結果から,漢方薬の抑肝散加陳皮半夏は内因性メラトニンレベルの増加により,概日リズム障害に対して単独で有効な可能性がある.