ワレンベルグ症候群(延髄外側症候群)は,延髄外側部の脳梗塞により発症し,解離性感覚障害,失調,めまい,嗄声,ホルネル徴候などの特徴的な神経症候が様々な組み合わせで出現することが知られている.一方,延髄内に多数存在する自律神経中枢の障害により,循環・呼吸・体温調節・消化管・下部尿路などに多様な自律神経症状を合併し得る点は必ずしも十分に認識されていない.徐脈や心停止,呼吸調節障害は生命予後に直結し,消化管機能障害や下部尿路機能障害はQOLに大きく影響する.体表温度の左右差は比較的容易に評価可能であり,診断や病態理解に有用な所見である.本稿では,これまでに蓄積されてきた知見および著者らの臨床・研究経験を踏まえ,ワレンベルグ症候群における中枢性自律神経障害に焦点を当て,その病態生理と臨床像を整理するとともに,診断および臨床管理における意義について考察する.