1991 年 44 巻 11 号 p. 1211-1215
1986年から1990年の間に大阪府の同一病院で分離されたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) 50株を使用して, 10種の市販品を含む14種のアミノグリコシド系抗生物質の感受性を調べた。Arbekacin (ABK) 耐性菌は全く認められず最も良い感受性を示し, Streptomycinの感受性も良かった。Kanamycin (耐性株98%), Tobramycin (84%), Gentamicin (62%), Amikacin (36%) 及びABK (0%) のそれぞれの感受性から各MRSAが保有しているアミノグリコシド修飾酵素を推定し, 分類した。
アミノグリコシド系抗生物質以外でMRSAに有効な抗生物質を探索し, Vancomycin (VaM) のほかに12種の既知抗生物質を見出した。中でもTaitomycinは極あて低濃度 (0.013~0.050μg/ml) で全株を阻止した。Griseolutein A, B (0.10~0.39μg/ml), Macarbomycin (0.05~0.20μg/ml) はいずれもVCM (0.39~156μg/ml) より優れたMICを示した。Novobiocin (0.20~0.78μg/ml) も良好な抗菌力であった。