抄録
ハナサナギタケ(Isaria japonica Yasuda)の栄養菌糸増殖期とシンネマの発芽および生育期において4種類の発光ダイオード光源(青色光(460nm),緑色光(520nm),黄色光(592nm),赤色光(630nm)による照射の効果について調べた.寒天培地上の菌糸伸長速度は各種LED光照射による有意な差は見られなかったが,菌糸体乾燥重量を比較すると,青色および緑色LED光を照射したものでは暗黒培養したものに比べ有意に菌糸体乾燥重量が増加した.しかし,黄色,赤色LED光を照射したものは,暗黒区と有意な差は見られなかった.シンネマの発芽に関しては,黄色光や赤色光の照射では全く無効で,青色光と緑色光照射で有効であった.シンネマの生育工程でも,青色光と緑色光照射で有効であったが,青色光を照射したものは,胞子の生産量が多すぎるため実際の栽培には不適であると考えられた.シンネマの収量増加と胞子着生量抑制の両面から,緑色光の照射がハナサナギタケの商業生産においては有効であると考えられた.