日本応用きのこ学会誌
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エノキタケ菌床栽培における子実体収量,子実体成分に及ぼす餡殻の影響
高畠 幸司鍋島 裕佳子加藤 肇一
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2003 年 11 巻 2 号 p. 71-78

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抄録
エノキタケ菌床栽培において,培地基材としての餡殻が子実体収量,子実体成分に及ぼす影響を検討した.スギオガ粉を餡殻で置換した場合,置換割合50%以上では,子実体収量は一定量となり,約1割増加した.エゾマツオガ粉では,餡殻の置換割合が高くなるにつれて子実体収量は増加し,置換割合60%で最も多くなり,約2割増加した.エゾマツオガ粉・米糠培地では,スギオガ粉・米糠培地よりも子実体収量が少なくなったが,エゾマツオガ粉を餡殻で50〜80%置換することにより,スギオガ粉・米糠培地よりも子実体収量が多くなり,エゾマツオガ粉は餡殻と混合することにより有用な培地基材になることが示唆された.エゾマツオガ粉・米糠培地でエゾマツオガ粉を餡殻で置換することにより,エノキタケ子実体は粗タンパク質,粗脂肪の含量が低下し,遊離糖・糖アルコール,有機酸,遊離アミノ酸の含量が増加する傾向を示した.特に,アラビニトール,グリセロール,アラニン,グリシンの含量が増加した.これらの成分の増加により,エノキタケ子実体の甘味が発現したと推察された.
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© 2003 日本きのこ学会
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