日本応用きのこ学会誌
Online ISSN : 2433-0957
Print ISSN : 1345-3424
11 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 宮崎 和弘, 角田 光利
    原稿種別: 本文
    2003 年11 巻2 号 p. 65-70
    発行日: 2003/07/25
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル オープンアクセス
    トリコデルマは,緑かび病を引き起こし,きのこ栽培を阻害する.我々は,きのこの栽培施設および野生きのこから分離された,トリコデルマ,グリオクラディウム,ヒポクレアの合計24菌株を用いて,分子マーカーによる特徴付けを行った.我々は,クローン分裂体を検出する上でのRAPDマーカーの有効性を見っけた.また,A10プライマーを用いて解析した場合,T. harzianum集合種分離株に共通のフラグメント(A10-2000)が存在することを見つけた.ITS1領域のSSCP解析パターンは,それぞれの種もしくは集合種に特異的であった.
  • 高畠 幸司, 鍋島 裕佳子, 加藤 肇一
    原稿種別: 本文
    2003 年11 巻2 号 p. 71-78
    発行日: 2003/07/25
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル オープンアクセス
    エノキタケ菌床栽培において,培地基材としての餡殻が子実体収量,子実体成分に及ぼす影響を検討した.スギオガ粉を餡殻で置換した場合,置換割合50%以上では,子実体収量は一定量となり,約1割増加した.エゾマツオガ粉では,餡殻の置換割合が高くなるにつれて子実体収量は増加し,置換割合60%で最も多くなり,約2割増加した.エゾマツオガ粉・米糠培地では,スギオガ粉・米糠培地よりも子実体収量が少なくなったが,エゾマツオガ粉を餡殻で50〜80%置換することにより,スギオガ粉・米糠培地よりも子実体収量が多くなり,エゾマツオガ粉は餡殻と混合することにより有用な培地基材になることが示唆された.エゾマツオガ粉・米糠培地でエゾマツオガ粉を餡殻で置換することにより,エノキタケ子実体は粗タンパク質,粗脂肪の含量が低下し,遊離糖・糖アルコール,有機酸,遊離アミノ酸の含量が増加する傾向を示した.特に,アラビニトール,グリセロール,アラニン,グリシンの含量が増加した.これらの成分の増加により,エノキタケ子実体の甘味が発現したと推察された.
  • 岩田 喬子, 斉藤 武, 堀内 勲, 米山 誠
    原稿種別: 本文
    2003 年11 巻2 号 p. 79-84
    発行日: 2003/07/25
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル オープンアクセス
    カンゾウタケは,抗腫瘍活性や抗菌活性を持っきのことして知られている.カンゾウタケ菌糸体を大量に供給することを目的として,その液体培養条件について検討した.最適初発pHは5.0付近であり,pH6.5〜7.0の中性付近でほとんど生育できないという特徴的な性質を持っていた.10種類の炭素源のうち,コーンスターチを用いた場合に極めて生育が良好で,グルコースの2倍以上もの成長量を示した.この結果は,カンゾウタケ菌糸体が高分子多糖類を効率的に資化する高い能力を保持していることを示唆する.10種類の有機態窒素と無機態窒素を用いて,菌糸体成長に対する窒素源の影響を調べたところ,菌糸体はモルトエキスにおいて最も良好な生育を示し,その至適濃度は4.0%であった.本研究により,カンゾウタケ菌糸体の大量培養を行うための基本条件が確立した.
  • 坂本 裕一, 小倉 健夫
    原稿種別: 本文
    2003 年11 巻2 号 p. 85-91
    発行日: 2003/07/25
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル オープンアクセス
    アミガサタケの栽培方法を確立するために,菌核の形成方法を検討した.アミガサタケは腐生菌の培養に用いられているバーク堆肥よりも,穀物を用いた培地の方が良好な菌核発生を示した.また,穀物培地を用いた場合,培地中に空隙があることが重要であることが明らかとなった.さらに,上段に貧栄養の土壌培地,下段に富栄養の穀物培地を重ねた二段培地上に菌核を移したところ,菌核がより大きく生長することが確認できた.菌核の生長は上段の培地がpH7.5の時が最も良かった.菌核は土などを巻き込みながら近くの菌核と融合して直径3〜4cm程度の大きさに生長し,子実体の発生には充分であると期待される大きさに達した.
  • 馬替 由美
    原稿種別: 本文
    2003 年11 巻2 号 p. 93-96
    発行日: 2003/07/25
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル オープンアクセス
    栽培エノキタケ,シナノ6号の着色変異株に2本鎖RNAを見いだした.はじめに,菌糸をリン酸バッファー中で破砕し,PEG8000とNaClを添加してウイルス粒子を沈殿させた.得られたウイルス粒子をフェノール抽出し,アガロースゲル電気泳動を行うと3種類の2本鎖RNA(L1:分子量9.5kb,S1:分子量1.4kb,S2:分子量1.6kb)の存在が明らかになった.一方,着色変異を起こしていないシナノ6号株には2本鎖RNAは認められなかった.このことから,2本鎖RNAは,純白系エノキタケが褐色着色変異を引き起こす要因になっていると考えられる.
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