抄録
栄養要求性マーカーを付与した2種類のナメコ一核親株を交雑し,正逆交配株を得た.正逆交配株は,いずれも正常な子実体を形成した.一核親株および正逆交配株を培養した平板培地から生じたオイディア由来一核株は,菌糸伸長速度が一核親株より速く,菌糸伸長速度と菌糸体重量の分布が正規分布とは判断されなかった.これらの表現型の変化は,細胞質遺伝子の組み合わせが異なる正逆交配株の両者,および一核親株に見られた.したがって,細胞質遺伝子構成の影響および複相核で生じる体細胞組み換えは,これらの表現型の変化の原因ではないと推定した.