抄録
長崎県沿岸では近年魚類の食害によると思われるヒジキの生育不良現象が広がっている。この原因種を明らかにするため, 藻食性魚類6種に室内水槽でヒジキ幼体を与え摂食状況を観察した。ヒジキを良く摂食したのはアイゴ, ノトイスズミ, ブダイで, アイゴは規則正しい細かい鋸歯状, ノトイスズミはやや不明瞭で幅広い鋸歯状, ブダイは不規則で不定形な凹凸の傷が残り, 魚種による特徴が認められた。単位重量当たり摂食量ではアイゴは他の2種の15~20倍と多く, 加えてヒジキに対して摂食選択性を示した。生育不良現象が認められた場所で採集したヒジキを観察した結果, 39~67%の個体にアイゴの摂食痕が認められ, 摂食痕の観察から生育不良現象を誘発している原因種の推定が可能であり, この場所ではアイゴが主要な原因種と考えられた。