アレルギー
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全身性エリテマトーデス(SLE)における血清クリオグロブリン : II. その経時的変化とループス腎炎との関連について
石田 豊
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1974 年 23 巻 10 号 p. 676-681,709-71

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抄録

SLE 24例について血清クリオグロブリン(以下 Cg.と略)と腎障害の程度との関連を, また18例については SLE の病態変動とともに Cg.がいかなる変化を示すか検討を行った.その結果, SLE の Cg.は臨床的活動性, 血清学的変化をよく反映して変化し, 急性転化の際にも明確な変化を示した.FITC 標識抗ヒトγ-chain ウサギ血清を用いての腎蛍光抗体染色所見は, IgG-IgM 混合型 Cg.GM 型 Cg.)陽性例では granular が主であるのに対し, IgG 型 Cg.(G 型 Cg.)陽性例では measangial または linear が多くなり, Cg.陰性例では全例 linear pattern であった.腎障害も GM 型 Cg.陽性例では12例中10例に, G型 Cg.陽性例では8例中3例に active な腎障害がみられたが, Cg.陰性例では active のものは1例もみられなかった.Cg.の抗補体作用は, 腎所見が lumpy あるいは granularである症例が他の pattern の症例より強く, また active な腎障害を有する症例が強かった.以上のごとく, GM 型についで G 型 Cg.陽性例では腎糸球体にimmune depositを認め, Cg.の抗補体作用もこれらと相関して高く, RF 活性C_1qの両者あるいはいずれか一方が陽性で, 抗補体作用の強い Cg.は, ループス腎炎発症に病因的役割を果たす一要素と考えられる.

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© 1974 日本アレルギー学会
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