女性学年報
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「太陽族」の社会問題化から考える〈青少年〉のセクシュアリティと統治
新警察法(1954年)施行後の「少年警察」の展開と東京母の会連合会の動きを踏まえて
中山 良子
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2024 年 45 巻 p. 94-113

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抄録

 1956年に生じた「太陽族」の社会問題化を当時の〈青少年〉をめぐる統治の側面から捉えなおす。1956年7月、補導された〈青少年〉の性的なありよう(桃色遊戯など)が新聞記事において「太陽族」として繰り返し言及された。当時、青少年問題協議会などでは「青少年に有害な出版物、映画等」の悪影響が盛んに語られていたが、青少年問題協議会に深くかかわる東京母の会連合会は、その影響を危惧し「太陽族映画」へ抗議の声をあげ、また「「太陽族」とよばれる若い人たちの生態」に対し深い懸念を示していた。同じ時期の婦人雑誌では「青少年の“不純異性交遊”」をめぐって、「家庭の不注意」までもが問題視されていた。

 しかしながら、補導された〈青少年〉の増加は、講和発効後の青少年問題協議会の変質、1954年の新警察法の施行と「少年警察」の変化および暴力対策の強化に起因したものである。青少年問題協議会は「非行をなす虞のある青少年」に対する取り組みを許容し、1954年の「少年警察の運営について」は占領期とは異なる「非行の防止」「犯罪の予防」を目的とした警察の営為を可能としていた。〈青少年〉の異性愛に関するセンセーショナルな語りは、これら青少年問題協議会や警察の変質を見えにくくさせていた。結果的に「太陽族」の社会問題化は、問題の〈青少年〉への言及を介して、〈青少年〉のセクシュアリティ(異性愛)のありようを規範化し、「正しい」〈青少年〉をも構築していった。

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© 2024 日本女性学研究会『女性学年報』編集委員会
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