応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌
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【総説:―受賞論文―】 サケ鼻軟骨由来熱水抽出プロテオグリカンの素材化および日焼け抑制効果を有した美容食品の開発
後藤 昌史 末川 裕花田 友香子山本 和司柿崎 育子
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2017 年 7 巻 1 号 p. 23-28

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抄録

サケ鼻軟骨からの皮膚生理活性が高いプロテオグリカン(PG) の抽出方法を検討するため,サケ鼻軟骨から分子量別にPG を精製分画し,紫外線誘導皮膚老化モデルマウスを用いた経口投与試験を行った.その結果,高分子量PG 画分が皮膚光老化を抑制する効果が高いことを確認した.この高分子量PG を効率的に抽出する方法として熱水抽出法を開発し,高分子量PG を豊富に含むサケ鼻軟骨熱水抽出物(原料名:ヒアルコPG) の工業原料化を達成した.熱水のみの抽出であるため製造コストも大幅に抑えられ,食品への高含有量での配合も可能となった.25 歳以上45 歳未満の女性を対象にヒアルコPGを8 週間摂取したときの,背中への人為的紫外線照射による日焼け度合いを評価した結果,ヒアルコPGの摂取量依存的な日焼け(特に皮膚黒化) 抑制効果が実証され,紫外線による皮膚ダメージを軽減させる効果があることが示唆された.これらの実験事実に基づきヒアルコPGの有効量を決定し,身体の内面から紫外線をケアする美容食品を開発した.ヒアルコPGⓇは,体内に吸収されずに,腸管免疫を介して炎症性を発揮するものと考えられ,様々な炎症による症状改善への応用が期待できる.

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© 2017 一般社団法人 日本応用糖質科学会
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