サケ鼻軟骨からの皮膚生理活性が高いプロテオグリカン(PG) の抽出方法を検討するため,サケ鼻軟骨から分子量別にPG を精製分画し,紫外線誘導皮膚老化モデルマウスを用いた経口投与試験を行った.その結果,高分子量PG 画分が皮膚光老化を抑制する効果が高いことを確認した.この高分子量PG を効率的に抽出する方法として熱水抽出法を開発し,高分子量PG を豊富に含むサケ鼻軟骨熱水抽出物(原料名:ヒアルコPGⓇ) の工業原料化を達成した.熱水のみの抽出であるため製造コストも大幅に抑えられ,食品への高含有量での配合も可能となった.25 歳以上45 歳未満の女性を対象にヒアルコPGⓇを8 週間摂取したときの,背中への人為的紫外線照射による日焼け度合いを評価した結果,ヒアルコPGⓇの摂取量依存的な日焼け(特に皮膚黒化) 抑制効果が実証され,紫外線による皮膚ダメージを軽減させる効果があることが示唆された.これらの実験事実に基づきヒアルコPGⓇの有効量を決定し,身体の内面から紫外線をケアする美容食品を開発した.ヒアルコPGⓇは,体内に吸収されずに,腸管免疫を介して炎症性を発揮するものと考えられ,様々な炎症による症状改善への応用が期待できる.