応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌
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【総説】 酵素で合成したグリコーゲンの生理機能研究とその利用
角谷 亮 穂苅 早織柳瀬 美千代久保 亜希子梶浦 英樹古屋 敷隆高田 洋樹鷹羽 武史栗木 隆
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2018 年 8 巻 2 号 p. 138-144

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抄録

グリコーゲンはグルコースがα-1,4およびα-1,6グルコシド結合した球状の高分子であり,動物や微生物など天然に広く存在する.動物の貯蔵多糖として機能することが知られているが,一方で免疫賦活機能を有することが古くから報告されていた.我々は,国民の健康に寄与する素材として,グリコーゲンを産業的に利用することを考え,酵素を用いて植物原料からグリコーゲンを合成する方法を開発した.本方法で得られたグリコーゲン(ESG)は,天然のグリコーゲンと比較して,大きさ,形状,分岐構造など,種々の物理化学的性質が同等であり,かつエンドトキシン等の不純物の濃度が低かった.ESGは免疫賦活効果を有し,自然免疫受容体であるToll-like receptor 2を介してマクロファージ等の免疫細胞を活性化した.また,腸内環境改善効果や脂質代謝改善効果,肌質改善効果,認知機能改善効果など,様々な効果を有することがわかってきた.本稿では,グリコーゲン合成法の開発から,これまでに得られた生理機能研究および応用研究の成果について,現在取り組んでいる内容を含めて概説する.

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© 2018 一般社団法人 日本応用糖質科学会
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