応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌
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【総説】 ミルクオリゴ糖の機能研究における最近の進歩(2)
―抗感染,バリア機能,壊死性腸炎予防,免疫調整機能について―
浦島 匡 福田 健二
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2018 年 8 巻 2 号 p. 145-154

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抄録

人乳には初乳で22~24g/L,常乳では12~13g/Lの濃度でミルクオリゴ糖と呼ばれる糖質成分が含まれている.それは人乳の固形成分の中でラクトース,脂質に継ぐ3番目の成分である.ミルクオリゴ糖は200種類以上のオリゴ糖の混合物であり,還元末端側にラクトース単位を有し,それにN-アセチルグルコサミン(GlcNAc),ガラクトース(Gal),フコース(Fuc),N-アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)が付加したような化学構造を有している.現在までに162種類の化学構造が決定され,それらはコア骨格に基づいて19のシリーズに分類される.大半のヒトミルクオリゴ糖(HMOs)は母乳栄養児が母乳を授乳した後,小腸で消化吸収されないで大腸に到達し,そこで有用腸内細菌の増殖を促進する,病原性細菌やウイルスが腸管上皮に付着するのを阻害するなどの機能を有すると報告されている.また少量のオリゴ糖は吸収されて,血管を通じた循環過程で免疫調整作用に係わることが示唆されている.それらの機能性に関する研究は,従来HMOsとともに上皮細胞や病原性微生物,またHMOsと内皮細胞や免疫細胞を使用したin vitro の系を使用して行われてきた.一方で最近一部のHMOsと同一の構造を有するオリゴ糖がグラム単位で供給されるようになったこともあり,とくに実験動物を使用したin vivo研究での進展が著しい.この総説では,2014年以降に行われたミルクオリゴ糖の機能性に関わる研究のうち,抗感染作用,腸管バリア機能,壊死性腸炎予防,およびに免疫調整機能に係わる研究を紹介する.

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© 2018 一般社団法人 日本応用糖質科学会
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