抄録
貯蔵年数の異なる玄米およびその精白米の脂質含量と脂肪酸量の変化に着目し,貯蔵米の匂い発生特徴との関連性,および搗精による匂いの低減効果について検討した。ガスクロマトグラフィーにより分析した結果,長期間貯蔵に伴う玄米中の脂質含量は最大24.6%減少し,玄米表層部(赤糠層)から抽出された脂質中の不飽和脂肪酸量は最大約11.2%減少した。電子嗅覚システムの測定において,貯蔵3年以上の玄米には匂いの強さが明確に増加した成分が10個あり,歩留90%まで搗精した精白米では,それらの匂い成分の濃度は玄米の半値以下になり,搗精による長期貯蔵米の匂い成分の低減効果が確認された。