美味技術学会誌
Online ISSN : 2186-7232
Print ISSN : 2186-7224
最新号
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論文
  • 来島 壮
    2023 年 22 巻 2 号 p. 33-40
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/03
    ジャーナル フリー
     かつお節を切削すると好ましい香りを感じるが,徐々に減衰することが知られている。ここではかつお節の切削前後および切削物の経時的追跡により,「削りたて香」に寄与する香気成分を調査した。かつお節切削後にアルデヒド類の構成比が2.8%から0.7%に低下した。切削物を異なる湿度環境で保管したところ,相対湿度32%で24時間経過時にアルコール類,アルデヒド類の増加が認められ,0時間と比較してHexanalは11倍となった。一方,多くの成分は減少し,Dimethylsulfideは0.02倍,Pyridineは0.06倍となった。0時間に比較して含水率は10%低下した。湿度83%では含水率と香気成分の変化は抑制された。
     「削りたて香」は24時間保管で有意に低下し,湿度32%では6時間保管でも評点の低下が認められた(p<0.05)。今回確認された香気成分の多くは切削後に2時間で減少したが,一方で徐々に増加する成分により香気構成が変化し,好ましい香りとして感じられなくなると推察された。
  • 飯野 遥香, 川村 周三, 吉田 慎一, 武田 貴宏, 小関 成樹
    2023 年 22 巻 2 号 p. 41-48
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/03
    ジャーナル フリー
     冷害年,猛暑年,通常年の異なる気象条件下で栽培された北海道米「ゆめぴりか」の理化学特性と食味評価の年次変動を解析した。気象変動が玄米や精白米および炊飯米の品質に影響を与えた。糊化特性試験結果から,冷害年は炊飯米が老化しやすい品質になることが示唆された。食味評価項目のうち,気象条件による変動が最も大きいのは炊飯米の粘りであり,冷害年と猛暑年で有意差(p<0.01)が示された。気象変動による食味品質の変動を把握しておくことが高品質な「ゆめぴりか」を安定生産するために重要と考えられた。
  • 鈴木 雅大
    2023 年 22 巻 2 号 p. 49-58
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/03
    ジャーナル フリー
     昭和初期における豚肉料理に用いられる食品について,現代との比較を行うとともに,豚肉料理の美味しさの表現について検討した。豚肉料理に用いられる食品は野菜類および調味料が多く,現代でも同様であった。類似度は野菜類より調味料の方が高く,多様度は調味料では昭和初期の方が低かったが,野菜類では同程度であった。調味料は醤油,塩および砂糖が多く使用される点で昭和初期と現代は同様であるが,昭和初期では味噌の使用が多く,1種類のみもしくは醤油を組み合わせた調味法が多かった。豚肉はだしとしても使われており味や香りが良いこと,そして食感が柔らかいことが豚肉料理の美味しさに寄与していると考えられた。
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