かつお節を切削すると好ましい香りを感じるが,徐々に減衰することが知られている。ここではかつお節の切削前後および切削物の経時的追跡により,「削りたて香」に寄与する香気成分を調査した。かつお節切削後にアルデヒド類の構成比が2.8%から0.7%に低下した。切削物を異なる湿度環境で保管したところ,相対湿度32%で24時間経過時にアルコール類,アルデヒド類の増加が認められ,0時間と比較してHexanalは11倍となった。一方,多くの成分は減少し,Dimethylsulfideは0.02倍,Pyridineは0.06倍となった。0時間に比較して含水率は10%低下した。湿度83%では含水率と香気成分の変化は抑制された。
「削りたて香」は24時間保管で有意に低下し,湿度32%では6時間保管でも評点の低下が認められた(p<0.05)。今回確認された香気成分の多くは切削後に2時間で減少したが,一方で徐々に増加する成分により香気構成が変化し,好ましい香りとして感じられなくなると推察された。
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