美味技術学会誌
Online ISSN : 2186-7232
Print ISSN : 2186-7224
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会長就任の挨拶
論説
論文
  • 成瀬 美卯, 久松 賢太郎, 澤井 美伯, 吉村 明浩, 平塚 悟, 島田 昌也, 中川 智行
    原稿種別: 論文
    2024 年 23 巻 1 号 p. 4-10
    発行日: 2024/03/01
    公開日: 2024/11/29
    ジャーナル フリー

    本研究では,岐阜大酵母GY115株のエールビール醸造に向けた育種とその発酵特性を評価した。GY115株は遺伝的に清酒酵母系統であるにも関わらず,マルトースに対して高い生育能力と発酵能力を有していた。また,高マルトース適応型変異株として獲得したGY115-a3M株は,ホップを添加した麦芽エキス培地においても十分な発酵能力を有し,その発酵初期ではエール酵母US-05株より有意に高い発酵力を示した。更にGY115-a3M株を用いて実際にビール醸造試験を行った結果,フルーティーな香りと清酒酵母特有の風味をもつエールビールを醸造することができた。これらのことから,GY115-a3M株の清酒酵母としての特性を活かした個性あるエールビール醸造に活用できる可能性を示すことができた。

  • 堀 光代, 西岡 浩貴, 高橋 貴洋, 中川 智行, 岩橋 均
    原稿種別: 論文
    2024 年 23 巻 1 号 p. 11-18
    発行日: 2024/03/01
    公開日: 2024/11/29
    ジャーナル フリー

    伝統的な魚の発酵食品であるなれずしを主とした発酵すし6種類(9品)のpH, 塩分, 遊離アミノ酸, 有機酸と味覚センサを用いた分析を行った。pHは, 3.7~4.5であり, 塩分は100gあたり1.3g~4.6gであった。遊離アミノ酸は, なれずしの種類により違いがみられ, 原材料に野菜類および調味料等が添加されていた影響も推察された。有機酸もなれずしの種類によって特徴がみられた。味覚センサの分析では, 鮒ずしは他のなれずしと異なる味の特徴が示された。鮎なれずし(3品)の間では類似した味の特徴があり, また, ねずし(2品)とかぶらずしに類似した味の特徴がみられた。本研究により, 魚の発酵食品の化学成分と味覚センサを用いた日本のなれずしの基礎資料を示すことができた。

  • 大野 智生, 篠塚 忍, 西岡 浩貴, 豊留 孝仁, 岩橋 均, 堀江 祐範
    原稿種別: 論文
    2024 年 23 巻 1 号 p. 19-33
    発行日: 2024/03/01
    公開日: 2024/11/29
    ジャーナル フリー

    本研究では,石鎚黒茶の製造容器,発酵時の部位及び製造ロットの違いによる微生物への影響について検討した。石鎚黒茶は愛媛県で製造され,製造時に好気発酵及び嫌気発酵の二段階発酵を行う。伝統的製法では嫌気的二次発酵に木桶を用いていたが,現在はポリバケツを用いている。同年に複数ロット製造された二次発酵時にポリバケツまたは木桶を用いた茶について,各発酵段階における茶葉内部,表層の茶葉から微生物を分離するとともに,次世代シーケンサーを用いた微生物群集構造解析を行った。製造条件によらず,一次発酵でAspergillus属真菌が,二次発酵で乳酸菌が優占しており,正常な発酵進行が示唆されたが,酵母の種類について製造容器による差がみられた。製造容器による酵母への影響は,製品の風味にも影響する可能性がある。また,一次発酵後茶葉内部から乳酸菌が検出されるなど,発酵時の部位による影響も確認された。本研究により得られた知見は,石鎚黒茶の伝統的製法の応用や製造の安定化につながると考えられる。

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