美味技術学会誌
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最新号
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論説
論文
  • 遠藤(飛川) みのり, 村上 健二
    2025 年24 巻1 号 p. 4-11
    発行日: 2025/03/01
    公開日: 2025/12/18
    ジャーナル フリー
     日本の低~中温条件下で施設栽培されたサイシン類の品質特性を明らかにするため,サイシンおよびその近縁28品種,系統の花蕾の物理的特性を調査した。11月6日播種では花蕾の靭性は早生品種,系統で低かったが,2月6日播種では,播種直後の低温により花蕾の肥大が抑制されたため,花蕾の靭性は早生品種,系統で高かった。また,中間的な靭性の早生品種のサイシンの官能評価を,他の野菜(コマツナ,アスパラガス)と比較した。サイシンの花蕾はにがみ,くさみは強くなく,葉は薄くくたくたとした食感であり,花蕾と葉を同時に喫食した場合には,他の葉茎菜類と比べやや甘みを感じにくいが軟らかいとの評価であった。
  • 山﨑 陽, 松添 直隆
    2025 年24 巻1 号 p. 12-20
    発行日: 2025/03/01
    公開日: 2025/12/18
    ジャーナル フリー
     本研究は,栗の異なる品種での蒸し加熱温度による遊離糖含量に与える影響を明らかにすることを目的とした。早生品種の ‘ぽろたん’,‘丹沢’,‘杉光’,中生品種の ‘銀寄’,‘利平’,‘筑波’,晩生品種の ‘美玖里’ を供試した。栗の蒸し加熱温度(非加熱,50℃,60℃,70℃,80℃,90℃)による Brix,遊離糖含量(スクロース,グルコース,フルクトース,マルトース)の変化を調査した。高い温度ではスクロース・グルコース・フルクトース含量が減少した。一方で,低い温度ではマルトース含量が増加した。‘利平’ は加熱により還元糖含量が増加した。栗の品種,加熱温度が栗の甘味に影響を与えることが明らかとなった。
  • -弘前大学内水田産玄米を例として-
    永田 彩夏, 小早川 紘樹
    2025 年24 巻1 号 p. 21-27
    発行日: 2025/03/01
    公開日: 2025/12/18
    ジャーナル フリー
     2023年の夏は,全国の平均気温が統計開始以来最高となり,青森県でも水稲の登熟期間にあたる8月の気温が過去最高となった。2023年の水稲生育期間中の気温は,全体を通して2021年および2022年より高くなり,特に,8月の気温が著しく高くなった。2023年における「まっしぐら」および「つがるロマン」の整粒歩合は,2021年および2022年より明らかに低くなった。一方で,白未熟粒の割合は38.2および36.8%と著しく高くなったことから,2023年のような異常高温では青森県でも水稲の登熟障害が発生することが明らかになった。今後も地球温暖化は進んでいくため,冷涼な気候である青森県であっても,高温登熟障害に対する技術の確立が求められるであろう。
  • 遠藤(飛川) みのり, 曽根 一純
    2025 年24 巻1 号 p. 28-37
    発行日: 2025/03/01
    公開日: 2025/12/18
    ジャーナル フリー
     イチゴの貫入または圧縮試験において,プランジャーの径および形状の差異が果実硬度の測定値に及ぼす影響を調査した。その結果,測定値はプランジャー径が大きいほど大きく,同じ径では球型に対し円柱型で大きかった。同一品種の果実間では,プランジャーの径を問わず測定値の大小の傾向は一致した。一方,品種間で測定値を比較する場合,球型プランジャーと円盤型プランジャーとでは品種別順位が異なる傾向であった。また,貯蔵日数が異なる果実間で測定値を比較する場合,径が大きいプランジャーほど差異を検出しやすかった。果実硬度測定では同じプランジャーを用いるべきで,用いない場合は径や形状が結果に及ぼす影響を考慮する必要がある。
  • 来島 壮
    2025 年24 巻1 号 p. 38-46
    発行日: 2025/03/01
    公開日: 2025/12/18
    ジャーナル フリー
     本研究では,異なる種類のかつお節の揮発性成分を調査し,削りたて香を含む官能特性との関連を明らかにすることを目的とした。亀節,本節3種,裸節の計5種のかつお節を収集し,その香り特性を評価した。
     官能特性を整理するため,保管条件の異なる本節試料を用いて,削りたて香と燻煙香,肉質香,酸化臭の関連を調査した。湿度32%で保管した時,削りたて香評点が低下し,燻煙香および肉質香との高い相関が確認され,酸化臭とは負の相関を示した。一方,湿度83%では削りたて香と酸化臭の相関が小さくなり,保管湿度による官能特性の変化が明らかになった。
     5種のかつお節の揮発性成分と官能特性を比較した結果,亀節はアルデヒド類やアルコール類が多く,酸化臭が強いことが示された。裸節は揮発性成分が有意に低く,肉質香評点は高いものの,削りたて香評点は4.21と最低であった。これはフェノール類に由来する燻煙香の弱さが主な原因と考えられる。
     かつお節の種類によって揮発性成分は異なり,フェノール類が削りたて香の認知に寄与すると推察される。さらに,燻煙香や肉質香の減少,酸化臭の増加により変化すると考えられ,かつお節の種類や保管条件によっても官能特性が異なることが示唆された。
  • -食品副産物の発生およびアップサイクルに対する理解と認知-
    本田 智巳, 松添 直隆
    2025 年24 巻1 号 p. 47-53
    発行日: 2025/03/01
    公開日: 2025/12/18
    ジャーナル フリー
     本稿では,消費者の食品製造業における食品副産物の発生およびアップサイクルに対する理解や認知を高めることをねらいとするワークショップを設計し,その効果を検証した。その結果,ワークショップ受講前は食品(食材)を購入する際に原材料や製造・加工方法,環境への配慮を重視している生徒は少なく,食べているものの成り立ちや持続可能な食生活に対する関心が低いことが示された。また, 本ワークショップを通して多くの生徒が副産物について理解し,食選択の際における意識の変化がみられた。さらに,本プログラムが参加者の学びに有益だったことや,SDGs意識が向上したことが示唆された。消費者がより広い観点から食の価値やおいしさを判断するようになるために,今後も食品副産物や食品廃棄物の現状に対する知識の習得や経験の蓄積を効果的に支援するための教育を推進していく。
  • 水間 智哉, 野原 綾
    2025 年24 巻1 号 p. 54-59
    発行日: 2025/03/01
    公開日: 2025/12/18
    ジャーナル フリー
     本研究では,ヒラマメ(Lens culinaris Medic.)を原材料としたヒラマメ麹の製造試験を行った。ヒラマメ麹のα-アミラーゼ活性は,皮なしヒラマメで皮ありヒラマメを原材料としたものより有意に高くなったが,プロテアーゼ活性は低くなった。ヒラマメは麹化によって,遊離アミノ酸含量が2.48~5.30倍になり,うま味成分のグルタミン酸とアスパラギン酸の総量は1.17~4.78倍に増加した。ヒラマメ麹を使用した甘酒は,米麹使用甘酒より黄色味が強い色調で,試飲試験では,テクスチャー,総合,香りの評価が低くなったが,味の評価は皮なしヒラマメで高かった。本検討により,ヒラマメを原材料とする個性的なヒラマメ麹の製造が可能であることを示し,皮ありヒラマメと皮なしヒラマメを使い分けることによってヒラマメ麹の酵素活性やうま味成分,あるいはこれを使用した甘酒の特性を変化させ得ることがわかった。これらの知見は,ヒラマメ麹の多様な発酵食品への利用可能性を示唆するものである。
  • 大島 達也, 安藤 泰雅, 西津 貴久, 今泉 鉄平
    2025 年24 巻1 号 p. 60-68
    発行日: 2025/03/01
    公開日: 2025/12/18
    ジャーナル フリー
     真空含浸処理により組織状態を変化させたカットリンゴの電気的特性と組織構造の関係を調べた。X線マイクロCTによる観察から,蒸留水を用いた同一時間の真空含浸処理において,圧力を低く設定するほど試料の空隙率が減少することが示された。このとき,電気インピーダンス解析によって得られる細胞外抵抗は設定圧力が低いほど小さく,また,細胞膜容量(Cm)は大きくなり,空隙率変化との間に相関が認められた。また,スクロース溶液を用いた真空含浸処理においては,スクロース濃度の増加に伴いCmは減少した。したがって,含浸液の浸透圧変化によって細胞膜の膨圧が変化し,電気的特性に影響を及ぼすと示唆された。
特別講演
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