美味技術学会誌
Online ISSN : 2186-7232
Print ISSN : 2186-7224
最新号
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論説
論文
  • 貴志 学, 中村 允, 前田 拓也, 城村 徳明, 大江 孝明
    2024 年 23 巻 2 号 p. 90-96
    発行日: 2024/09/01
    公開日: 2025/04/24
    ジャーナル フリー
     伝統的な梅干製造の各工程における塩分,有機酸量(クエン酸及びリンゴ酸),並びに総ポリフェノール量を明らかにした。また低塩分で機能性成分を多く含む梅干の製造法を開発するため,漬込工程及び脱塩工程におけるクエン酸添加,さらに乾燥工程での直射日光の遮光がそれぞれ有機酸量及び総ポリフェノール量に与える影響について調査した。調査の結果,梅干のクエン酸量は両工程でクエン酸添加を行った場合が最も高く,脱塩工程でのみ添加を行った場合,漬込工程のみで添加を行った場合の順に高かった。重回帰分析を行った結果,梅干のクエン酸量はクエン酸添加を脱塩工程時に行うほうが漬込工程時に行うより2倍以上高くなることが明らかになった。また乾燥工程時の遮光処理は,総ポリフェノール量の減少を有意に抑制した。
  • 中嶋 名菜, 近藤 沙紀, 髙本 亜希子, 川上 育代, 松添 直隆
    2024 年 23 巻 2 号 p. 97-104
    発行日: 2024/09/01
    公開日: 2025/04/24
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,サラダタマネギの真空包装後の加熱操作による成分変化を明らかにすることである。実験に当たっては,サラダタマネギのサイズは S と 2L の2レベル,調理法は非加熱(対照区),ゆで加熱,真空加熱の3種類とし,これらを組み合わせて6つの実験区を設定した。サラダタマネギ含有成分の分析項目は,糖・有機酸・アミノ酸・ケルセチン配糖体含量とした。分析の結果,本研究において真空加熱調理区はゆで加熱調理区よりも甘味,うま味成分やケルセチン配糖体などのゆで水への溶出が少なかった。さらに,非加熱時と比較し,真空加熱調理区は GABA などの生体に有効な栄養成分の増加が明らかとなり,サラダタマネギを真空包装することによる有効利用の可能性が示された。
  • 川上 育代, 中嶋 名菜, 松添 直隆
    2024 年 23 巻 2 号 p. 105-115
    発行日: 2024/09/01
    公開日: 2025/04/24
    ジャーナル フリー
     本研究では,「タマネギ」と「和食のうま味素材」の組合せだしがうま味の強さに及ぼす影響について検討した。うま味素材は,かつお節,昆布,椎茸,いりこ,タマネギとした。各うま味素材が1%濃度のだしを調製し,2種類のだしを組み合わせて試料とした。味の評価は,味認識装置で測定し,先味(苦味雑味,渋味刺激,うま味),後味(苦味,渋味,うま味コク)を評価した。「タマネギ」との組合せにおいて,「タマネギ」と「かつお節」,「タマネギ」と「椎茸」を素材として組合せただしが,最もうま味が強かった。うま味の強さは,苦味や苦味雑味,うま味コクが関与していることが示唆された。
  • 山﨑 陽, 崎山 智有, 椎場 修斉, 髙尾 勝俊, 松添 直隆
    2024 年 23 巻 2 号 p. 116-123
    発行日: 2024/09/01
    公開日: 2025/04/24
    ジャーナル フリー
     本研究は,栗の自然落下前果実の貯蔵処理が果実成分に与える影響を明らかにすることを目的とした。自然落下前のきゅう果を収穫し,貯蔵温度(1,5,10,25°C),貯蔵日数(7,15,30日)並びにイガの有無の違いによる品質(Brix,遊離糖,遊離アミノ酸)変化を調査した。また,樹上にある自然落下9,3日前並びに成熟果を採取し,果実成分変化を調査した。栗は樹上で成熟することで,Brix,遊離糖・アミノ酸含量が増加した。低温貯蔵(1,5°C)によりスクロース,グルタミン含量が増加した。自然落下前のイガ付き栗(きゅう果)を低温貯蔵することで,栗の味(甘味,塩味,旨味)を変化させることが可能であることが明らかになった。
総説
  • 橋口 真宜, 米 大海, 村松 良樹
    2024 年 23 巻 2 号 p. 124-137
    発行日: 2024/09/01
    公開日: 2025/04/24
    ジャーナル フリー
     食品分野は食料需要の増大,フードロス削減,消費者の価値の多様化への対応で,フードテックが注目されている。その推進には食品物理による数理モデル,食品物理アプリ(数値解析アプリ),機械学習,センサ,シェフの役割を考察する必要がある。本総説では美味,調理加工,計測,食品物理の4つを構成要素とするフードテック・インフォマティクスを提案し,それに沿って機械学習の適用状況を既存の文献に基づき調査した。その結果,DNN(Deep Neural Networks)と PINN(Physics-informed Neural Networks)が重要であるとの認識が得られ,従来の V&V(Verification and Validation)を拡張して PINN および機械学習の品質保証を加えた次世代のフードテック・インフォマティクスの図式を提案し,食品物理アプリとコネクテッドシェフの活用を展望した。
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