美味技術学会誌
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論文
果実の光環境, 収穫時期および施用培養液濃度がナスの果実成分に及ぼす影響
髙尾 勝俊梅田 知季森 太郎中原 浩貴松添 直隆
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2018 年 17 巻 2 号 p. 60-66

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抄録
本実験ではナス(Solanum melongena L.)5品種(‘熊本長’,‘橘田’,‘Black Beauty’,‘Singhnath’,‘筑陽’)を供試した。まず,4 品種(‘熊本長’,‘橘田’,‘Black Beauty’,‘Singhnath’)を供試し,果実の光環境(光の有無)がアントシアニン色素,糖および有機酸含量に与える影響を検討した。果実への光環境によるアントシアニン色素含量の影響は,‘橘田’と‘熊本長’で大きく,‘Black Beauty’と‘Singhnath’で小さかった。果実の糖としてグルコースとフルクトース,ならびに少量のスクロースが,有機酸としてリンゴ酸と少量のクエン酸が含まれていた。これら糖や有機酸含量への果実の光環境(果実への暗黒処理有無)の影響は‘熊本長’と‘Black Beauty’ではなかった。‘Singhnath’と‘橘田’では暗黒処理で高くなる成分がみられた。次に,ナス2品種(‘熊本長’,‘筑陽’)を夏期および秋期に栽培し,果実のアントシアニン色素,糖,有機酸およびアミノ酸含量に与える施用培養液濃度の影響を検討した。アントシアニン色素含量は‘熊本長’に比べて‘筑陽’の方が高く,‘筑陽’では夏期に比べて秋期の方が多かった。‘熊本長’の果実のスクロース含量は夏期より秋期で多く,リンゴ酸含量は施用培養液濃度に比例して増加した。アミノ酸は14種類が検出された。主要なアミノ酸は,グルタミン,γ-アミノ酪酸,アスパラギンおよびアルギニンであった。両品種ともに総アミノ酸含量は夏期に比べて秋期で顕著に高かった。
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