美味技術学会誌
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論文
高知県産香酸柑橘‘ぶしゅかん’のフラボノイドおよびモノテルペンの評価
堀江 祐範 多田 敦美奈良 一寛
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2019 年 18 巻 1 号 p. 10-17

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抄録
高知県幡多地方を中心に栽培される香酸柑橘である,‘ぶしゅかん’について,これまでに報告されていないフラボノイド組成を調査した。8月(未熟果),9月(収穫期),12 月の果実について,外果皮,中果皮および果汁中のフラボノイド含量を評価した。さらに,9月に3カ所の異なる圃場で収穫された果実の比較を行った。対照として,同時に‘直七’およびカボスのフラボノイド含量を測定した。フラバノンとしてヘスペリジン,ナリルチンおよびナリンギンを,ポリメトキシフラボンとしてノビレチンおよびタンゲレチンを測定したところ,‘ぶしゅかん’にはこれらのフラボノイドがすべて含まれていた。特にナリルチンおよびナリンギン含量が高く,8月に収穫された果実で最も高い含量を示した。圃場間での成分の相違は小さかった。香気成分のモノテルペン類として,外果皮のリモネンおよびミルセンを測定したところ,‘ぶしゅかん’はミルセン含量が高かった。ミルセン含量は9月の果実で最も高く,適正とされる収穫期がもっとも‘ぶしゅかん’らしい香りが強いと考えられた。さらに,RBL-2H3細胞を用いて外果皮抽出物の脱顆粒抑制効果を評価したところ,8月および9月の果皮抽出物で特に強い抑制効果が見られた。
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