抄録
ビーズ式破砕機を用いた簡易的な人工食塊作製法を提案し,米菓の人工食塊の粒度分布と澱粉の平均重合度の経時変化についてヒト食塊の測定結果との比較から,提案の有効性を検討した。人工食塊の平均粒子径と澱粉の平均重合度は,咀嚼の進行とともに減少し,それぞれヒト食塊のデータと正の相関がみられた。口どけの良い米菓ほど人工食塊の平均粒子径と澱粉の平均重合度の減少速度が大きくなり,米菓の構造や澱粉の特性による食塊物性の違いを捉えられる可能性が示唆された。また,人工食塊の平均粒子径と澱粉の平均重合度における測定データの変動係数は,ヒト食塊の測定結果と比較して小さくなった。人工食塊の方がパネル間変動のあるヒト食塊よりも安定した物性を有する食塊が得られ,食塊物性の測定回数を減らしながら信頼性のより高いデータを得ることができる。