抄録
本稿では,食の自己管理が求められる若年層が食の営みと社会課題とのつながりに対する理解を深め,「持続可能な食生活」について考えることをねらいとする学習の手法として,料理の制作に必要な食材や調理操作といった「構成要素」と「構成要素間の関係」を可視化する「料理の構造化」と,自身の調理技術や利用可能な食材・調理設備に応じて要素を再構築しながら料理の制作に必要な食材・調理操作・手順を計画する「レシピ設計」のプロセスに着目し,カレーライスを題材にしたワークショッププログラムを開発・実践し,学習ツールとして有用性について検討した。その結果,ワークショップ受講後に食品(食材)を購入する際に原材料や製造・加工方法,環境への配慮を重視すると回答した者の割合が増加し,9割以上の受講者が,カレーライスの構造化を通して食べることと環境問題や社会課題との関係について考えることができたと回答した。さらに,「嗜好性」を保持しながら「持続可能性」を実現するためのカレーライスレシピを考える際に,味覚や嗅覚,視覚,触覚といった五感を意識していることが確認できた。