本研究の目的は三次元動作解析装置を用いて手指, 手関節の屈伸反復運動を解析した片麻痺上肢機能評価法 (以下, 三次元上肢評価法) の妥当性と信頼性を検討するものである. 慢性期脳卒中患者9名を対象に三次元上肢評価法と標準的な上肢機能評価法との相関関係ならびに別日に測定した値間の級内相関を求めた. また3名の脳卒中患者に3種の介入を実施し, 従来の評価に追加して三次元上肢評価法を介入前後に施行した. 三次元上肢評価法は従来の評価との相関 (0.87>r>0.57) が高く, 再現性にも優れていた (intraclass correlation coefficient>0.96). また痙縮による運動障害や運動の拙劣さなどの臨床的特徴も反映された. 三次元上肢評価法は, 妥当性と信頼性を有し, 臨床的有用性が確認された.