2021 年 2021 巻 7 号 p. 73-80
国内における生食用ブドウあるいは醸造用ブドウ栽培では,「テレキ 5BB」(Vitis berlandieri × Vitis riparia),「グロワール」(V. riparia),「101-14」 (V. riparia × Vitis rupestris) などが代表的な台木品種として使用される.一部の台木母樹に, 新種ウイルスの感染事例が認められたことから, 熱処理と茎頂培養の併用による無毒化個体の作出を行った.得られた16 ~18 個体について, 逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)により一次選抜を行った.選抜した6 個体ずつを混合して,現時点で最も信頼性の高い新たな手法である次世代シーケンス解析を用いたウイルス診断を行った.その結果,「テレ キ5BB」の一部の個体でウイロイドの陽性が認められた他は, 全ての供試個体においてウイルス感染は認められなかった.それぞれの2 ~6 個体からはいずれのウイルス・ウイロイドも検出されず, 無毒化台木母樹としての利用が期待で きる.