抄録
本論文は、NHKアーカイブス学術利用(NHK連携型研究)として、ベトナム戦争報道の映像を掘り起こし、検証する2回シリーズである。第1回では、当時NHKを含む主要なテレビ・メディアが立ち入ることができなかった北ベトナムの取材を担ったテレビニュース通信社・日本電波ニュース社に焦点を当て、NHKアーカイブスにフィルム媒体などで保存されている同社の配信映像(主にニュース)を分析し、その北ベトナム取材の特徴を明らかにした。
第2回となる本稿では、NHKが、日本電波ニュース社の配信映像を番組内でどのように使用し、北ベトナムを報道したのかを検証する。その結果、ベトナム戦争を扱う番組において、北ベトナムと比べて南ベトナムを扱う時間が圧倒的に多いことが明らかになった。また、表象に関しても、指導者の姿や兵士と戦闘場面、民衆の描かれ方において、南北ベトナムには明確な差異が確認された。結果として、NHKによるベトナム戦争報道は、中立的な姿勢を保ちつつも、「団結して戦い、敗北の兆しがない北ベトナム」の姿を浮かび上がらせていたと言える。