抄録
陰イオン会合性試薬のテトラブロモフェノールフタレインエチルエステル(TBPE)は除草剤系農薬で人に対する毒性が極めて高いジクワット(DQ)やパラコート(PQ)と反応して青色のイオン会合体を生成し,1,2-ジクロロエタン(DCE)に抽出される.この反応系は溶媒抽出/吸光光度/フローインジェクション分析への導入が可能であることから,DQ及びPQの迅速・簡便な分析法を開発した.DCE中の青色イオン会合体は,硫酸で水相のpHを3以下に調節・混合するとDCE中で黄色の安定なTBPE•Hが生成する.その反応に伴いDQ及びPQイオンは水相に移る.したがって,回収されたイオン会合性試薬TBPE•H及び抽出溶媒であるDCEを再び利用することが可能となった.検量線は0.25×10-5~2.0×10-5 mol dm-3の範囲で直線となる.再生処理したTBPE•H/DCE溶液を用いた場合,DQでは調製直後の新しい溶液を使用した場合とほぼ同じ傾きの検量線を得ることができた.PQの場合は傾きがわずかに減少したが直線性は良好であった.本法は市販除草剤中のDQ及びPQの定量に応用でき,また,河川水,市販のミネラルウォーター,緑茶について回収試験を行ったところ,ほぼ良好な結果が得られた.