紀の川中流域の全リン(TP)濃度特性を評価した。既存の水質モニタリングデータによると,1996年から2001年の間,中流域においてTP濃度が大きく上昇していた。そこで,この要因を明らかにするために,物質負荷量解析と河川水質解析を実施した。その結果,1996年から1999年の4年間に産業系TP負荷量が大幅に増加していたこと,2000年以降は産業系出荷額の減少および第5次水質総量規制の導入によりTP負荷量が少なくなっていたことが示された。さらに,河川水質解析により,中流域のTP濃度は流域からのTP負荷量および河川流量の影響を受けて変動しやすいことが示唆された。