抄録
本研究では,東日本大震災から6 年が経過し,復興過程にある被災地石巻市を取り上げ,来訪者の意識,行動の把握から,①ダークツーリズムの実態,特徴を明らかにすること,②ダークツーリズムの課題と可能性を論じ考察すること,の2点を目的とした。その結果,石巻市はダークツーリズムの対象地として機能し,震災は後世に伝承し,世界で共有する価値があると捉えられていた。また,被災地における臨場感は来訪者の災害に対する意識変化を促し,震災遺構や語り部ガイドは災害伝承方法として効果的と考えられていた。しかし,語り部ガイドの認知度は低く,復興を含む被災地の変化を想定した災害伝承方法論の検討が求められていた。