抄録
農耕地には農業生産性増大のため窒素施用が行われる。一方,窒素施用量の増大によって見かけの余剰窒素が増加する可能性が指摘されている。そこで,北海道東部根室地方の草地酪農地帯における,市販配合肥料などを由来とする草地への窒素施用量が見かけの余剰窒素量および草地生態系へ与える影響について検討した。草地への窒素施用量の増大によって,見かけの余剰窒素は増加する傾向が見られた。窒素施用量15kg/10aの時,見かけの余剰窒素量は,チモシー(Phleum pratense)で5.4kg/10a,シバムギ(Elymus repens)で7.0kg/10aであり,草種間差異がある可能性が示唆された。また,窒素施用量の増大によって,牧草体のC/N比が低下する傾向が見られた。窒素施用量や草地の主要草種によって,自然環境への窒素負荷が変化する可能性が示唆された。