2023 年 77 巻 1 号 p. 17-25
セメント硬化体は、外部の相対湿度(RH)に応じてC-S-Hゲルの構造、空隙内での自由水分布および結合水量が変化する。それらの変化には乾燥履歴によるヒステリシスが存在するため、処女乾燥させた系と乾燥後に再吸湿させた系とでは、同じRHで平衡にある状態でもそれらの性質が異なる。本研究ではセメント硬化体をRH 60%で処女乾燥した系、RH 23%乾燥後とD-dry乾燥後にそれぞれRH 60%に再吸湿した系を比較し、1H NMR Relaxometry、水蒸気吸着、TG、XRDで測定した。RH 23%乾燥やD-dry乾燥による層間距離の減少はその後の再吸湿によっても回復しないことが確認された。また、乾燥と再吸湿によるGel水やInterlayer水量の変化、及びAFt量の変化を定量的に評価することができた。