茶業研究報告
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技術レポート
紅茶製造における冷凍萎凋茶葉の保存とその利用
川口 茜佐藤 皓杜川野 翼田村 保晃池田 奈実子
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キーワード: チャ, 紅茶, 萎凋, 冷凍保存
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2018 年 2018 巻 125 号 p. 37-43

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抄録

材料は農研機構果樹茶業研究部門金谷茶業研究拠点内の圃場の‘べにふうき’を用い,一番茶新芽及び二番茶新芽を乗用型摘採機を用いて摘採した。萎凋は生葉コンテナを用いて,一番茶は重量が40%減するまで,二番茶は重量30%減少するまで行った。チューブ規格袋に入れて小分けし,卓上型真空ガス包装機を用いて,真空にした後,窒素充填を行った。窒素封入後の袋を-30℃で40分間急速冷凍を行った後,-20℃で保存した。解凍は,前日夕方から冷蔵庫内で行った。製茶は当日 (摘採日の翌日の萎凋終了後),摘採から1ヶ月後,3ヶ月後,5ヶ月後に行った。一番茶,二番茶とも,水分が茶葉の表面に付くことはなく,通常通り製茶を行うことができた。審査員9名による官能審査を行った結果,一番茶,二番茶とも当日と1ヶ月間,3ヶ月間,5ヶ月間保存後製造したものとの間に差はなかった。一番茶の萎凋葉を3ヶ月間保存した原料を用いて製造した紅茶が尾張旭の国産紅茶グランプリで銀賞を獲得したことで,冷凍保存した原料を用いても良質な紅茶を製造できることが明らかになった。

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© 2018 日本茶業学会
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