茶業研究報告
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生葉の熟度による香気寄与成分の変化
水上 裕造
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2019 年 2019 巻 127 号 p. 19-25

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抄録

本研究は熟度の進行による香りの変化を明らかにすることを目的として行った。生葉に含まれる香気成分は製茶工程を経ると著しく変化することが予想されたため,生葉から直接香りを抽出し,分析に用いた。生葉から抽出した香気エキスを解析したところ,hexanal,(Z)-3-hexenal,(Z)-1,5-octadien-3-one,(Z)-3-hexenol,2-isopropyl-3-methoxypyrazine,2-isobutyl-3-methoxypyrazineの6成分は熟度の進行により増加し,高いFDファクターで検出された。従って,これらの成分はこわ葉臭等の香りに関与することが考えられた。一方,熟度の進行によりcoumarinとvanillinは減少し,これらは甘い香りがあることから,若芽の持つ甘い香りに関与していることが考えられた。

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© 2019 日本茶業学会
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