茶業研究報告
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上質な味と香りを有する煎茶用品種‘しずかおり’の育成
片井 秀幸鈴木 康孝小林 栄人西川 博齋藤 武範青野 (柴田) 真里子太田 知宏神谷 健太山本 佳奈恵青島 洋一小栁 津勤永谷 隆行中村 順行倉貫 幸一畑中 義生
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2020 年 2020 巻 130 号 p. 17-32

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抄録

ʻしずかおりʼは,静岡県茶業試験場 (現静岡県農林技術研究所茶業研究センター) において,1989年にʻおくひかりʼを種子親に,ʻくりたわせʼを花粉親として交配した実生群から選抜,育成された。系統名89-2-7として2005年から2013年まで生産力および特性検定試験,ならびに地域適応性試験を実施した。その結果,収量性,荒茶品質等が煎茶用品種として優秀であると認められたため,ʻしずかおりʼと命名され,2013年に品種登録出願,2015年に品種登録,同年に静岡県奨励品種として採用された。

ʻしずかおりʼの特性の概要は次のとおりである。

一番茶の萌芽期はʻやぶきたʼより8日程度早く,摘採期はʻやぶきたʼよりも2日程度早いやや早生品種である。樹姿は半直立型であり,幼木期の生育は緩慢であるが,成木化するにつれて生育は旺盛となり,樹勢はʻやぶきたʼと同程度にやや強い。一番茶新葉,成葉ともに楕円形で,厚さがやや厚い。成葉はʻやぶきたʼに比べて色が濃く,光沢が多い。耐寒性は,赤枯れにはʻやぶきたʼと比較して同程度あるいはやや弱く,抵抗性評価はʻやや強ʼである。耐病虫性は,ʻやぶきたʼと比較して,炭疽病の発生はやや少なく,抵抗性評価はʻ中ʼである。赤焼病は試験地により異なるものの発生が多い傾向にあり,抵抗性評価はʻやや弱ʼである。クワシロカイガラムシの寄生はʻやぶきたʼよりもやや少なく,抵抗性評価はʻ中ʼである。収量性はʻやぶきたʼに比べ幼木期は低いが,成木期には高くなる。摘芽はやや芽数型である。荒茶品質はʻやぶきたʼよりも総合的に優れ,特に一番茶の香気,滋味に「花香,さわやかな香り,そう快味」等の特徴があり優れている。また,地域適応性にも優れ,静岡県内全域での栽培に適する。品種組合せによる経営の効率化や規模拡大を目指す経営体,上質な味と香りを生かしてブランド化を目指す地域・経営体に適した品種である。

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© 2020 日本茶業学会

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