茶業研究報告
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チャドクガの研究(第2報)
南川 仁博
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1954 年 1954 巻 4 号 p. 24-29

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抄録

1.第1世代幼虫の脱皮回数を再調査し,6~7回を行うことを確めた。第1報と綜合して考察するに,第1世代の幼虫は5~7回脱皮を行うが,或は第2世代のように8回行うことがあるかも知れない。
2.第1世代幼虫を成虫になるまで,25℃,75%RHで飼育した。その所要日数は53-61日で,第1世代の自然温度のものより約1ヵ月,第2世代より12~20日少く,また6~8回脱皮を行つた。
3.雌蛾の蔵卵数を60頭について調査した。平均373.5最多454粒で,産卵数よりも遙かに多い。また産卵終了後の蔵卵数を10頭について調査した。平:均81.3%,最多292,最少58であつた。
4.野外にて採集の卵塊の卵粒数を調査した。第1世代の69卵塊の平均卵粒数は173.5,最多304,最少65,第2世代の60卵塊の平均卵粒数は195.7,最多368,最少12であつた。
5.台湾産との生態的比較を行つた,台北では年5回の世代を重ねるが,金谷では年2回発生,台北産は5回脱皮を行うが,金谷では5剛8回,金谷の第1化期の雄成虫形は台北の夏形,金谷の第2化期の雄は台北の冬形である。
6.卵寄生蜂にはクロタマゴバチの1種とキイロタマゴバチの2種があつて,前者は第1世代で38.4%,第2世代で8.7%,援者は第1世代で0.3%,第2世代で0.5%の寄生率を示した。また前者はチャドクが以外の昆虫に寄生することはまだ知られていないが,後者はチャドクガ以外17腫の昆虫卵に寄生し,特にコカクモンハマキ,チャハマキ,レイシムシ等の有効な敵虫である。

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