茶業研究報告
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チャ寄生クワシロカイガラムシ発生回数の地域的差異を支配する要因
信濃 和喜寺田 孝重今西 実
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1975 年 1975 巻 43 号 p. 21-26

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抄録

1. チャ寄生クワシロカイガラムシの年発生回数の差異の原因を知るために河合が指摘した分類学的検討と伴が指摘した気温についての調査とを行った。
2. 奈良,滋賀,静岡,京都の各府県の茶産地から採集したものは,いずれも河合によって提唱されたクワシロカイガラムシP.pentagonaであった。この結果から,チャ寄生クワシロカイガラムシの年発生回数の地域差の原因は種類の相違によるものではないことがはっぎりした。
3. 年2回発生の奈良市矢田原町(当場)での気温は平均気温の年平均が12.7℃であったが,年3回発生の奈良市法蓮町(農林省茶原種農場)での平均気温の年平均は14.6℃で,その差は約2℃あった。
4. 年発生回数は気温によって異なるという多くの報告と本調査の結果とを合わせ考えると,チャ寄生クワシロカイガラムシの年発生回数の地域差の一要因として気温を考える必要があるように思われる。

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