茶業研究報告
Online ISSN : 1883-941X
Print ISSN : 0366-6190
ISSN-L : 0366-6190
茶の再製工程における静電気に関する研究
増沢 武雄佐藤 幸夫
著者情報
ジャーナル フリー

1975 年 1975 巻 43 号 p. 31-38

詳細
抄録

茶の再製工程で,茶に帯電する静電気と温度,湿度の室内条件,茶の水分および茶が接触する部分の材質との関係並びに再製工程で茶に帯電する静電気をコロナ放電または導電性繊維で除去し,ふるい分け効率,商品性などについて試験した。その結果を要約するとつぎのとおりである。
1. 温,湿度と茶の静電気帯電量は,温度20℃,湿度65%で,水分2~4%の茶では静電気の帯電量は著しく減少し,粉や浮葉が容器にほとんど付着しなかった。茶の水分の増加に伴い茶の静電気帯電量は減少した。
2. 水分2%前後の茶は,黒ゴム,塩化ビニール,ガラスなどの素材からなる材質に触れると静電気による障害が認められたが,水分5.6%の茶ではほとんど障害はなかった。
3. ふるい分け工程(平行ふるい,振動ふるい,廻しふるい)で茶の静電気をコロナ放電により除去すると低水分の茶ほど静電気の除去効果が高かった。また,ふるい網面上の茶の静電気を除去すると,ふるい分け効率は低温,低湿ほど高まった。
4. 唐みへ投入する直前で茶に帯電する静電気をコロナ放電により除去すると,中味および浮葉などの分離がよくなり茶がきれいに仕上がった。しかし高温,高湿で水分の高い茶では静電気の除去効果が少なかった。
5. 現場の総合仕上機で,ふるい網面上の茶の静電気を除去した結果,S式,Y式ともに茶の静電気が減少した。低温、低湿で,水分の低い茶は静電気の除去効果が大きく,粉およびジンの分離量は増加した。
6. バイブレーションコンベヤーおよびベルトコンベヤーなどの搬送工程では,コロナ放電による静電気除去の効果もあったが,導電性繊維でも茶の静電気を減らすことができた。
この研究を実施するに当たりご協力いただいた株式会社東京倉惣静岡工場,静岡安倍茶農業協同組合連合会,試験機材め一部をお貸りした春日電機株式会社静岡出張所の各位並びにご教示いただいた静岡県茶業試験場大石貞男場長,試験,調査にご協力いただいた静岡県農業水産部茶業農産課笹野昭男氏,静岡県茶業試場験横山良一,本杉昭二両氏に厚くお礼申し上げます。
なお,この研究は,農林省の総合助成の研究費によって行ったことを記して感謝の意を表します。

著者関連情報
© 日本茶業技術協会
前の記事 次の記事
feedback
Top