1979 年 1979 巻 Appendix4 号 p. 51-54
チャの幹の裂傷型凍害の被害を防止または軽減するために,秋から初冬季の裂傷発生前または発生直後に,幼茶樹の株元に土寄せ処理を行いその効果を試験した。
1) 裂傷発生時における株元地際部の最低気温は,土寄せを行つた場合も放任区と温度差は認められなかった。
2) 裂傷型凍害発生率は,年次や品種間差はあったが,土寄せを行った場合も放任区とほぼ同率の発生がみられた。ただ土寄せを行った場合は裂傷の発生位置が盛土の上部の幹であり,放任の場合の発生位置とは異なり,以後の生育や生存率がすぐれた。
3) 裂傷発生株は,発生直後に土寄せを行うことにより裂傷部にカルスの形成を顕著に促進し,裂傷が治ゆし被害の軽減を図ることができた。
4) 裂傷型凍害の発生が予想される品種や地域においては,裂傷発生前に土寄せを行うことが,望ましいが裂傷発生直後速かに土寄せを行う方法も効果的である。