抄録
暖地の幼茶樹に発生する裂傷型凍害の発生防止法として草生法ならびに資材被覆について1973~1975年にわたり試験した。
1) チャの幼木を簡易に被覆する草生や資材利用法では,ともに裂傷の発生時に夜間の気温低下を抑制し,裂傷型凍害を軽減する効果がみられたが,供試品種の抵抗性の程度により裂傷発生率には差が認められた。
2) 草生法では,初霜以降低温により枯死しないエンバクのような草種の効果が高かった。
3) エンバク草生の効果は,裂傷発生時期に幼茶樹全体を被覆(日射量40~60cal/cm2)でぎるように繁茂させるとき最も良かった。このためは種期は,8月下旬が適期で,は種位置は株の両側30cmの距離で,は種量は4kg/10aが良かった。
4) 資材被覆ではBBテックス,タフベル,かんれいしゃの効果が認められたが,こもの効果には及ばなかった。
5) エンバク草生は,資材被覆法より効果が高かったが,その理由として茶株内の最高気温の抑制,土壌水分の制御およびN肥料の吸収に対する茶樹との競合効果なが考えられる。