茶業研究報告
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黒ボク土壌における透水性と有機物混合率の違いが窒素成分の移動に及ぼす影響
岩橋 光育森田 明雄
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1997 年 1997 巻 84 号 p. 5-11

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抄録

黒ボク土壌における透水性や有機物混合率の違いが施肥成分の移動に及ぼす影響について,土壌表面に窒素を施用した充填カラム(内径100mm,高さ300mm)に対するかん水試験で検討した。
透水性の違いによる透水試験では,透水性が良好な区ほど流出水のEC,硝酸態窒素は速く増加するが,最高値は低く,その後も穏やかな減少を示した。一方,アンモニア態窒素の増加はEC,硝酸態窒素にくらべて遅く,かつその濃度は硝酸態窒素にくらべ10%以下で推移した。
流出量600mmにおけるカラムからの無機態窒素の溶出割合は,各区とも硝酸態窒素は86~88%と多いが,アンモニア態窒素は7%以下であった。
透水性試験後のカラム内土壌の硝酸態窒素濃度は各区の各層共に10mg/1009以下と低く,硝酸態窒素の多くが既に流出済みであることが認められた。アンモニア態窒素の残'存量は第1層で多く,透水性が良好な区ほど第1層からのアンモニア態窒素の下方移動が促進された。
有機物混合率の違いによる透水試験では,混合率が高い区ほど流出水のEC,硝酸態窒素の増加は速いが,最高値は低く,その後も穏やかな減少を示した。一方,アンモニア態窒素の増加は,混合率が高い区ほど速く,その濃度は0~30ppmと硝酸態窒素濃度の20%以下で推移した。
有機物混合率試験後のカラム内土壌の硝酸態窒素及びアンモニア態窒素濃度は透水性試験と同様な傾向が認められた。

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