日本化学療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-5886
Print ISSN : 1340-7007
ISSN-L : 1340-7007
眼科領域におけるcefluprenamの基礎的・臨床的検討
大石 正夫阿部 達也笹川 智幸本山 まり子宮尾 益也今井 晃田沢 博鈴木 明子田澤 豊千葉 可芽里高橋 久仁子玉井 信加藤 圭一藤原 隆明吉野 啓原 二郎安田 冬子岡村 良一堀田 明弘野村 代志子宮川 真一鎌田 龍二大蔵 文子
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 242-252

詳細
抄録
新しい注射用セファロスポリン剤, cefluprenam (CFLP) の眼科領域における基礎的, 臨床的検討を行った。
1) 本剤はグラム陽性菌, 陰性菌に広い抗菌スペクトルを示し, Pseudomonas aeruginosaにはceftazidimeよりすぐれた抗菌活性を示した。臨床分離のStaphylococcus aureus 20株は≦0.19~1.56μg/mlに感受性分布を示し, 0.39μg/mlに分布の山がみられた。P. aeruginosa 20株では0.39~≧100μg/mlに分布して3.13μg/mlに分布の山を示した。
2) 白色成熟家兎にCFLPを50mg/kg 1回静注した時の前房水中濃度は, 投与15分後にピーク値4.2μg/mlの濃度に達し以後は漸減し, 6時間後は0.9μg/mlであった。房水血清比 (房血比) は15分値で2.97%であった。投与30分後に測定した眼組織内濃度は, 外眼部組織で6.8±0.1~53-4±0.4μg/g, 眼球内部では0.6~16.6±1.2μg/g or mlであった。
3) ヒトに1.0g点滴静注して, 60~120分後に0.69~2.7μg/mlの前房水中濃度が証明された。ヒト涙嚢内へは, 1g点滴静注して3時間後に15.6μg/gの高い移行濃度が認められた。
4) 眼瞼炎1例, 急性または慢性の急性増悪の涙嚢炎7例, 角膜潰瘍13例, 全眼球炎5例および眼窩蜂巣炎3例の計29症例に本剤を1回1g, 1日2回点滴静注した。各症例からS. aureus, coagulase negative Staphylococcus, Streptococcus pneumoniae, α-haemolytic Streptococcus, Klebsiella oxytoca, Serratia marcescens, Pseudomonas spp. などが分離された。著効11例, 有効13例, 無効4例, 判定不能1例の結果で, 有効率は85.7%であった。副作用は2例 (6.9%) に発現して, 全身掻痒感の1例は投与中止後, 異物感の1例は投与終了後それぞれ消失した。臨床検査値の異常は6例 (23.1%) にみられ, GOT, GPTの軽度上昇であった。
著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top