日本畜産学会報
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一般論文
市販ヨーグルト中のペプチドとその構造
井越 敬司小林 弘昌宮川 博工藤 康文松田 茂樹
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2002 年 73 巻 2 号 p. 299-304

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抄録

発酵乳中のペプチドを明らかにするため, 市販ヨーグルトのペプチドについて調べた. ヨーグルトホエーから70%エタノール可溶性画分を調製し, ODSカラムを用いた高速液体クロマトグラフィーでペプチドを分離, 分析した. その結果, 多数のピークが見出された. そこでこれらペプチドの一次構造をアミノ酸組成分析とN-末端側シークエンスから調べた. その結果, 24種類のペプチドが明らかにされた. 24種類のうち14種類はβ-カゼイン, 10種類はκ-カゼイン由来であった. αs1-カゼインからのペプチドは見出されなかった. β-カゼイン由来ペプチドはβ-カゼインの47から93および166から209, κ-カゼイン由来ペプチドはκ-カゼインの24から65, 107からC末端側の二つの領域よりそれぞれ得られた. 決定されたペプチドには既知のカゼイン由来機能性ペプチドと一致するものは見出せなかった. しかし, いくつかのペプチドはこれら機能性ペプチドを内在していた. また, 苦味ペプチド (β-CN (f192-209), (f193-209)) も存在した.

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© 2002 公益社団法人 日本畜産学会
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